語ってくれ

要するに土方？

中高大とそこそこの学校に通って行った

大学の就活では特にやりたい仕事もなかった。手当たり次第に知っている企業に受けたけど分不相応すぎて全て落ちた
秋頃にはどこでもいいからとりあえず内定だ、と思いふと目に留まった食品商社を受けて内定を貰った

内定貰った時はやっとの内定で嬉しかったけど
卒業して実際入社したら地獄だった

どこ行ってもそうなんだろうけど、叩き上げの社風だったから毎日怒られた
煽り耐性全然ないから怒られるたびに自己嫌悪で気分が沈んでいた

営業自体も口下手だから上手くいかなかった

夏頃には辞めよう辞めようと思っていたけど
苦労して手に入れた内定の会社だから、辞めても次は絶対決まらないって脅迫観念から辞められなかった

だけど一緒に入社した同期は１２月末づけに辞めた
そいつが俺の唯一の支えだったから、そいつがいなくなってからは俺も引っ張られるように年あけて３月末には辞めた

辞めてから転職者向け求人サイトに登録した
「第二新卒だから大丈夫だろう」とか「まだ２０前半だから」って安心感があったけど
やりたい仕事もなく、新卒と比べて求人の種類も少なくどれもピンと来なかった

そんな中良さそうと思った会社に応募したけどどこも書類で落とされた

なんでお前みたいなド陰キャが商社行けると思ったんだよ

辞めてから一カ月後とりあえずバイトだけはしようと大学時代に働いていた食品スーパーのバイトに申し込んだ
店長とマネージャーは変わっていた。俺はそのスーパーでは結構働いていて、前の店長やマネージャーからは「就活で行く当てないならウチ受ければ？推薦するよ」みたいな事を言われていたから絶対受かるだろうと自信があった
だけど結果は不採用だった。正直状況が呑み込めなかった。絶対受かると思っていたのに落とされた。ショックが凄く大きかった

自分という存在が必要とされていない、そう突き付けられていると思い込んでしまった

その後、正社員の試験とバイトの試験を平行して行ったけどどれも落とされた
バイトの方はコンビニに合格していたけど深夜勤のみって条件だから断った

俺は働くという行為と働くために動くという行為が嫌になって夏頃には引き籠っていた
ただ家に入れるお金やスマホ代だけは稼がなきゃいけないから一週間深夜の派遣工場で働いた

それ以外は家に引き籠る毎日だった

しかし、深夜の工場もやがて紹介されなくなった
紹介されないならいいかって感じで俺は働くのを辞めてずっと引き籠った

携帯代は貯金でやりくりして家には一切金をいれなくなった

親は最初こそは怒っていたがやがて何も言わなくなった

欲しい物ができたら派遣であぶく銭を稼ぎ、それ以外は家に引き籠ってゲームか２ちゃん
そんな生活を続け、気づいたら年単位で時間が経過していた

そんな生活も長続きはしなかった
親が定年になり、それを機に田舎の祖母と一緒に生活すると言い出した

バイトって落ちれんのか

俺に突き付けられた選択肢は２つ
田舎に行き働くか、埼玉に残って働いて自立するかだった

祖母の田舎は本当に田舎でアニメショップや本屋や飲食チェーン店はなく、車で１０分以上走って２３時まで営業しているコンビニが唯一の救いだった
近所も田舎の方言で何言っているか俺にはさっぱりだった。婆ちゃんとの会話は半分以上理解していないのが常だった。

そんな田舎に定住なんて絶対嫌だと思い俺は埼玉で再起する事に決めた
この時の歳は２８歳、職歴１年

とりあえずハロワに行った
最初はネットだと楽、人付き合いがない、ノルマないって評判の事務職希望だったけど

簿記やパソコンスキルの資格がないと厳しい、あってもそもそもにおいて人気職種だから経験ないと採用なんてされないと言われた
事実、面接をしても全て落とされた

ハロワ職員には「介護か建設関係ならブランクあっても受かりやすい、とりあえず生活を安定させるまでの繋ぎとして働き、安定したらまた転職に挑戦したら？」みたいな事を言われた

介護は他人のジジババの糞尿を処理するのは嫌だった。だから建設を目指した。建設は中学の頃ゲーム仲間だったヒョロい友人がニートしたあげくやっているって風の噂で聞いていたから俺にも勤まるだろうと思った
そんな感じでハロワ職員と一緒に検索機で求人を探した

後日面接が決まったため、面接に行った。面接をしたのは社長で定番の「空白期間何してた？」「志望動機は？」「キャリアは？」はほぼ深堀りせずに終わった

面接の結果採用になったため俺は晴れて建設作業員として再起する事にした
親は最初肉体労働で大丈夫？と心配したけど「繋ぎだから」って言っておいた

とりあえずボロアパートを借りて自分の部屋の荷物をそっちに移動させた
親に少しお金を出して貰った。ニートしている時は親が金を払うのは当たり前だと思ったけど
働くと決まると申し訳ないという気持ちが再び生まれた

同僚はとにかく多様だった
高校中退して中卒でずっと働いている元ヤン
俺と同じ行き場を失った元ニート
会社をリストラされた中年
プライドが高い小汚いおっさん
とにかく無口なおっさん
他にも色々と個性豊かな面子だった

俺の教育係は中卒元ヤンだった。そいつは俺の事を呼び捨てで呼んだ
俺の方が年上なのにと最初は思っていたけどしょうがない。

中卒元ヤンは口は悪いけど性格は悪くなかった。俺が重大なミスをすとさすがにキレられたけど。

毎日筋肉痛と疲労との闘いだった。家に帰ったらカップ麺かインスタントカレーを食ってシャワー浴びて寝る
休日はスーパー銭湯に行ったあと家でゴロゴロ録画を見る毎日だった

毎日辛かったけど食品商社にいた時みたいなストレスはなかった
それ所か仕事には半年程度で順応し筋肉痛や疲労困憊で帰る事は少なくなって
次第にしっかりとプライベートを充実させられるようになった

中卒元ヤンとは一緒にバイクでツーリングするようになったし
元ニートとは秋葉原で遊ぶようになったし
リストラ中年は相談に乗ってくれる仲になった

俺は仕事は内容じゃなくて人だと思った。
だから最初は繋ぎと割り切った今の仕事も続ける事にした。

建設業は陰湿さとかはあまりないのかな？

世間体も良くなく、危険もある。実際に捻挫になって仕事行けない時もあった。
だけど今の職場の人は俺にとってはいい人だから続けている

親は捻挫した時には心配されたけど続ける事を告げたらそれ以上は何も言わないでくれた

３０超えてやっと親孝行ができるようになった。回り道ばっかしたけどやり直せた。

職業貴賎なし、そう実感した日でしたとさ。

ええなあ

頑張ってな

その調子や

三行でまとめてくれない？